鹿賀丈史「いまの時代だからこそ心に刺さる作品」 ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』公演直前インタビュー

ゲイクラブのオーナー・ジョルジュと、看板スターのザザことアルバンが繰り広げるミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』の公演が、2018年3月よりスタートする。1985年の日本初演から30年以上継続している伝統的な作品であり、このほどコンビ結成10周年を迎える鹿賀丈史と市村正親による公演は、初日から千穐楽まで連日のスタンディングオベーションという大成功を収め、いまなおその人気は衰えを見せない。そこで、T-FAN SITEはジョルジュ役を務める鹿賀丈史にインタビューを行った。長年支持されている作品の魅力はもちろん、自身も今年デビュー45周年を迎える鹿賀は、「人間が生きていく上で必要なものを表現するのがミュージカルの魅力」だと力強く語ってくれた。
 
ゲイの気持ちや喋りを意識し、自分なりにアレンジを加えてきた
 
――まずは、本作品において市村正親さんとコンビ10周年を迎えられたいまの率直なお気持ちを伺いたいです。
 
鹿賀丈史(以下鹿賀) 「もう10年経ったのか」と、あっと言う間の出来事だったと思います。いっちゃん(市村)が演じる奥さん・アルバンはわがままで、いつも私(ジョルジュ)と言い争いをしたりしていますが、ただ奥さんを叱るのではなく、ゲイならではの通じ合った物言いをより意識するなど、さまざまな点を刷新してきました。
台本は男言葉が多かったので、そこを自分なりにゲイの気持ちに近づけて、言い回しを変えてみたりしています。例えば、最初の場面は「アルバン、ドアを開けなさい」と台本に書いてありますが、そこを「ドアを開けてぇ~」とちょっと柔らかくしたり(笑)。また、ジョルジュの息子ジャンに彼女が出来て、向こうの家族があいさつに来るのでアルバンをおじさん役に仕立てるレッスンをするのですが、そのときも「もっと股を開け」と台本にはありますが、「はい、股を開いて?」「そうじゃなくてもっと開いて?」などですね。

 
――市村さんとの印象的なエピソードはありますか。
 
鹿賀 もちろんいっちゃんとは10年間やってきて絆も深まりましたが、それ以前に劇団四季のときの同期ですから、もう45年の付き合いになります。劇団四季のとき私は主役が多く、いっちゃんはどちらかと言うと周りを固めてくれる役が多かったのですが、演劇中は私よりも目立つような人でしたから(笑)。そういう意味では、互いに気心が知れているので、互いにやりたいようにやればそこで穴を埋めあったり、心の交流がうまくいったりしますね。
 
作品のテーマは「家族愛」「仲間との愛」 普遍的だから支持を集める
 
――『ラ・カージュ・オ・フォール』は1985年に日本初演を迎え、そこからさまざまな俳優を主演にして再演を繰り返している作品ですが、長年続いている一番の要因は何だと思いますか。
 
鹿賀 この作品は「家族愛」や「仲間との愛」が基本的なテーマですが、再演を重ねることで、だんだんそれらのテーマをはっきり演出できるようになったことですね。お客さんが感情移入しやすく、泣き笑いする、という非常に完成度の高い作品になってきたと思っています。
 
――17年10月31日に六本木で開催された「10thアニバーサリー・パーティ」で、鹿賀さんは「10年目だけど、新しいラ・カージュを観てほしい」と仰っていましたが、具体的にどのような点を観てほしいと考えていますか。
 
鹿賀 もちろん10年目という節目でもありますが、私もいっちゃんも互いにいい歳になりましたので(18年1月9日時点で鹿賀は67歳、市村は68歳)、大人のゲイ2人が醸し出す何とも言えない雰囲気を出していけると良いかなと思っています。より熟成した大人のゲイの雰囲気を、さらに掘り下げていくことを意識して演技してきたいですね。
 
――鹿賀さんは、1973年の『ジーザス・クライスト・スーパースター』から来年デビュー45周年を迎えます。長年活躍されている鹿賀さんに、改めてミュージカルの魅力について伺いたいと思います。
 
鹿賀 『ラ・カージュ・オ・フォール』であれば「家族愛」であったり、他作品であれば「逆境を乗り越える力」など、そういう人間が生きていく上で必要なものを表現するのがミュージカルの魅力の1つだと思います。
 芝居や歌、踊りなど、さまざまな要素があるミュージカルはよく「総合芸術」と呼ばれますが、シリアスなものからコメディなものまで、ジャンルはさまざまです。『ラ・カージュ』はコメディ要素も多いですが、「家族」をテーマにしていますので、どこの家庭にもある同じような問題が起こります。この舞台では、たまたまゲイの夫婦とその子供を取り上げていますが、そこで起こる問題を面白おかしく感動的に描いている作品ですので、言ってみれば普遍的なのです。
 ですから、ご覧になっていてすごく気持ちが良いし感動するので、初めてミュージカルを観る人にとっても打って付けの作品ではないでしょうか。「何か知らないけど、面白くて笑っているうちに泣いちゃったわ」みたいな。それは、『ラ・カージュ』が家族愛という普遍的なテーマを表現し、なおかつ素晴らしい音楽も揃っており、まったく古さを感じさせない作品だからだと思います。

ミュージカルを初めて観る人にもぴったりの作品

 
――『ラ・カージュ・オ・フォール』が家族愛や仲間の愛をテーマにしている作品だと仰っていただきましたが、一方で世の中を見ると、近年は乳児の殺害やSNSで気軽に出会った人たちが被害に遭うなど、悲しいニュースが続いています。いま、『ラ・カージュ』を上演する意義について、鹿賀さんはどのように感じていますか。
 
鹿賀 一人ひとりの人間が簡単に嘘をつける時代になっていると感じています。現代社会は情報量も膨大で、知らない者同士がSNSを介して知り合って、人間同士の触れ合いが希薄なうちに大事件が起きたり、良く知らない人との接点で問題が起きたりしています。
 そういう時代だからこそ、『ラ・カージュ』のような伝統的で普遍的なミュージカルというのは、観ている方の心に刺さるのではないかと思います。お芝居は、もちろん作りとしてはフィクションですが、その中にある“真実”に人は感動するのです。人間は、潜在的に喜劇や悲劇、愛を求める生き物ですから。

 
――最後に、ミュージカルを初めて観るという方と、鹿賀さんのファンやリピーターの方々にそれぞれ一言ずつお願いします。
 
鹿賀 初めて観る方は、『ラ・カージュ』はミュージカルの魅力がぎっしり詰まっている作品ですので、ぜひご覧いただきたいと思います。初めて観るミュージカル作品としてはぴったりですよ。
 何度もご覧になっている方は、やはり舞台というのは、演者のその日のコンディションによって、同じことをやっているようでも微妙に違ったりするので、ぜひそういう部分も観ていただきたいですね。また、台詞や歌い方をちょっと手直しして臨むつもりですので、また新鮮な『ラ・カージュ』をお届けできるのではないかと思っています。ご期待ください。

 
(取材・文/T-FAN SITE岩瀬駿斗)
 
 
『ラ・カージュ・オ・フォール』 Tチケット販売概要
【取扱日程】


 
【チケット料金】
S席 一般 13,000円(税込)
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『ラ・カージュ・オ・フォール』 公演概要
 
2018年3月9日(金)~31日(土)
東京都 日生劇場
 
2018年4月7日(土)~8日(日)
福岡県 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
 
2018年4月13日(金)~15日(日)
静岡県 静岡市清水文化会館(マリナート)
 
2018年4月20日(金)~22日(日)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール
 
原作:ジャン・ポワレ
脚本:ハーベイ・ファイアスティン
作詞・作曲:ジェリー・ハーマン
翻訳:丹野郁弓
訳詞:岩谷時子、滝弘太郎、青井陽治
演出:山田和也
オリジナル振付:スコット・サーモン

 

キャスト
ジョルジュ:鹿賀丈史
アルバン(ザザ):市村正親

 

ジャン・ミッシェル:木村達成
アンヌ:愛原実花
ハンナ:真島茂樹
シャンタル:新納慎也
ジャクリーヌ:香寿たつき
ダンドン議員:今井清隆
ダンドン夫人:森公美子
ほか

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